ラーメンの起源を求めて<熱風大陸編>

10.<ドラゴンキング・レストラン>



レストラン

乾燥地帯でどのようなラーメンが食べられるのか。残念ながら日本式ラーメンはないので中華屋へ。この安っぽく怪しげなライトアップがたまらん

レストラン2

ふーふー。
ずるずるずるずる。

……。

なんか違う……。スープが薄い。かれらは化学調味料というものを知らないのだろうか……。

アボリジニ

僕はアボリジニの方々の文化には失礼ながらあまり興味はないですし、現地の方々との心温まる(そして二度と再会することのないであろう)交流にも全く心惹かれない軟弱な旅行者ですが、それでも不意にカメラを構えこの一瞬を残したい、と思うときがあります。それはまさにこの時でした。亜熱帯に近づき、ちょうど日本の初夏のような気候だったせいでしょう。空気はけだるく湿気を含み、軽く汗ばんだシャツを、アウトバックから時折吹く風が心地よく通り抜けていくような静かな夜です。町の人々は日中の労働を終えて家に帰り、窓からは楽しげな笑い声がかすかに聞こえてきます。

ドカーン!!という音とともに、犬が激しく吠える声が響き渡ります。そしてそれに続いて、犬の鳴き声から逃げるように、5,6人のアボリジニの子供たちが笑いながら逃げ出してきます。あるものは肩をたたきあったり、手をたたいたりして大笑いしています。
何かいたずらをした後だったのでしょう。日本で言ったら小学校の低学年くらいの子供たちです。その光景は僕に夏祭りの終わりに、友達と街を探検したことを――当時はそれが僕にとっては大冒険だったのです――を連想させました。
僕は思わずカメラを手に取りレンズを彼らに向けました。
子供たちの一人がそれに気づき、道路の向こうから何かを喋っています。現地の言葉なのでよくわかりません。やがて一人が指差し、――暗くてよくわかりませんが――何かを喋りあっています。カメラが珍しいのでしょうか。また何人かがこちらに手を振っているように見えます。僕は思わず周囲を探していまいまいた。彼らと手を振りあうほどの交流をしたつもりはなかったですし、これで回りにいる誰かに手を振っていたとかだと恥ずかしい。まぁそんなよくありがちなトラップに引っかかるほど間抜けなつもりもありません。周囲をよく見渡す。周りにはやはり自分以外誰もいません。後ろにも。やはり子供たちは僕に向かって手を振っているのです。間違いない。そう確信して、いや、でも現地人との交流は避けてるしな、そういうのってなんか子供たちの無垢な笑顔ってインスタ映えするから仲良くしてるのって、自分いい人間ですよってアピールするみたいでいやなんだよな、大体子供の無垢な笑顔って言葉が嫌いなんだよな、とかいろいろ考えましたが、しょうがない、ここで子供を無視したら、日本人の名誉にかかわる。日本人の名誉のためだ、と意を決して手を振りました。ほどほどにしとけよな!と日本語で叫び返します。そしたらさらに彼らは激しい口調で何かを喋り、大きくジェスチャーをします。僕もそれに答えます。観光客が珍しいのかな。ちょっとそういう田舎モン丸出しな奴らもかわいいな、と思っていると、……ユー!というのが聞こえました。現地の言葉に交じって英語が聞こえます。というかよーく聞いていると普通に英語なんですね。訛りきついけど。

んー、なになに?
クソガキA「……ック、ユー!!!!」
ん?……。

クソガキB&C&D「ファッッッッキュー!!」

……。

なるほどね。なるほどなるほど。

……。

ウラァァァクソガキャ!!茨城なめんなやゴルァ!!

と叫んだら大喜びして逃げていきました。

全くこれだから田舎モンは。
どうやらいたずらの写真を取られたと思って怒っていたようです。

熱風大陸編.9<誰かが愛を叫んでる>へ戻る 熱風大陸編.11<蟻塚ジョンとの出会い>へ進む
ラーメンの起源を求めて:熱風大陸編トップ
トップへ戻る